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よっぽど症状が酷かったらしく、退院に至るにはあれからさらに一週間を要した。
今は傷も塞がり、触らなければ、もう痛くない。だけど傷の近くの毛がいくらか減った気がする…。
それはともかく、今日は久々に学校へ行く。頭のネットも外して。
「おお千秋!やっときたか」
「千秋がこなくて、僕ら寂しかったよ」
みんな歓迎してくれた。僕って実は、大切にされてたんだ。
「散々だったな。不幸の女神のせいで」
「大丈夫だったか千秋」
でも嬉しくなったせいで、今の台詞にはムカついた。というか、マジでイラッときた。
無言で自分の席に座る。
「ちゃき」
光だ。
「分かっただろ。かなり噂されてるんだ」
「うん。身に染みた」
「どうにかして、分からせてやらないと…そのうち、いじめになる」
「うん。でも、どうにかするって、どうやって」
「それがなあ…」
光は顔をしかめた。まさに、言ってはいけないことを言う直前の顔だ。
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