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その瞬間、ずしりと重い衝撃が僕を襲った。頭はくらりとし、目玉が一回転したんじゃないかと思える目まいさえ覚えた。
「千秋くん!」
やめて、近寄らないで。近寄られたら、もっと胸が締め付けられるんだ。
頭を打つ。無論、地面に。
「ごめんね千秋くん…わっ大変、おでこが」
見つめたらだめだ。魂が抜け、抜け…。
「とりあえず千秋くん、歩ける?」
歩けると言えばどうなるだろうか。この女の子と一緒に、保健室に行くことになるだろうか。
困る。光、助け…
キーンコーン、カーンコーン。
無情にも響く昼休み終了のチャイム。光は、走り出した。あの野郎、僕を助けてれば、言い逃れできたんだぞ。助け船が、最後の一隻が、沈没した気がした。
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