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「…るや??遥也!!」
―――ハッ
「…っ!!あっ、すみません!!ぼぉっとしてました!!」
撮影現場に戻るとすぐに遥也は撮影を開始させた。
しかし、驚くくらいに全く集中できない。
現在自分が撮影中だと言う事をマネージャーの声でやっと思い出したくらいだ。
「珍しいねぇ?遥也君が撮影中にぼぉっとしてるなんて…。さっきまではよかったのに…調子悪くなったかな??」
監督は心配そうにしてそう聞く。
しかし調子は全く悪くなっていない。
確かに寒い中寝てしまったりしたが、その後の出来事によってそんなこともう頭の片隅にすらない。
精神的状態に関してもむしろ良いくらいだと思う。
…ただ。
その今朝の女の子の姿が頭から離れてくれない。
何をしていても少し気を抜けば考えてしまうのだ。
ほんの一瞬の出来事だったのに…
また会いたい。
話してみたい…。
そんな衝動に駆られる。
こんな気持ちになるのは遥也にとって初めての経験だった。
ゆえにどうしていいのかわからない…。
「大丈夫です!!もう一回お願いします!!」
らしくねぇなぁ……
遥也はそう思いながらも仕事に集中しようと必死に頭を切り換えて監督にお願いしたのだった。
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