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「訓練は明日からだ。今日は部屋でよく休んでおけ。訓練の間は我々の用意した部屋で過ごしてもらう。
ここだ」
エレベーターを降り、地下三階の廊下を歩いた。白い床に白い壁、シンプルだが材質は高価だろう。
…どこの階も同じ廊下だな…。
「この部屋だ、覚えておけ」
白いドアには数字や文字はなく、代わりに大きなカラスのレリーフが飾られている。
ジェイドからカラスの紋様のついたキーカードを渡された。
「必要なものはひと通り揃えてあるつもりだ。
だが、まだ何か必要なら電話をとれ。すぐに執事が揃えてくれる。
食事も全て執事が運んでくる。
豪華なホテルだと思え」
キーカードをドアに差し込み、ドアノブに手をかけた。
「…訓練って何を?」
「まずは『言葉』だな。
最初は英語だ。日本語だと俺も苦労するしな。
詳しいことは明日だ。時間になればこちらから電話する。
部屋からは出るなよ」
ジェイドが去っていく。
ドアノブにかけていた手を回し、ドアを押した。
「…凄い……」
今までの部屋や廊下と違い、華やかな壁、踏み心地の良いカーペット、テレビでしか見たことのないような家具。
液晶の大きな薄型テレビにベッドのようなリクライニングチェア、壁に収納された冷蔵庫。キッチンまである。
奥にある3つのドアのうち、左側を開けると大きなバスタブに出た。
プールのような浴槽にシャワー、機能性の高そうなトイレ。
真ん中の部屋には様々な本が所狭しと並んでいた。テレビも置いてあり、いくつものゲーム機やコンポまで置いてあった。壁は防音性に優れていそうで、叫んでも外には聞こえなさそうだ。
右側のドアを開けると、神秘的な部屋に出た。
部屋全体にかすかな光に反射した水の影が揺らいでいる。
床は透明で、下には綺麗な水が流れている。
奥には大きなベッドがあり、飛び込めばそのまま沈みそうだ。
リビングに戻り、ソファに座る。
『豪華』と『理想』が、そのまま形になったようだ…。
だけど……独り…。
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