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ドアを開けると、いい匂いを漂わせるワゴンを引いた女性が立っていた。
この人が執事?
「食事をお持ちしました」
ドレスともメイド服ともとれる黒い服に身を包んでおり、ふわりとした服を着ていてもスタイルが抜群なのは分かる。
「食事が済みましたら廊下にワゴンごと下げておいてください」
拙い日本語でそう言うと、ワゴンから皿をテーブルに移し、ワゴンを残して静かに出ていった。
アメリカ人?アジア系?ハーフ?
いずれにせよ、『綺麗』という言葉では収まりきらない美貌の持ち主だ。
それにこの『豪華』な食事…。
柔らかそうな牛肉のステーキにバランスの良さそうなサラダ、ライスにクロワッサン、コップには果肉の入ったオレンジジュースが注がれていた。
ここの生活は想像以上に『素晴らしい』のかもしれない…。
食事を終えてからふと気付く。
ジェイドは『施術をした』と言っていた。自分もほんの少しの時間、ぼんやりとだが見た。身体のほとんどが切り開かれ、無数のチューブや機械、コードのようなものまで繋がっていた。
それなのに…、手足を見る限り、どこにも『痕跡』が見当たらなかった。
黒いタイトな上着のチャックを開け、下着をめくってもどこを切り開かれたのか分からなかった。
…でも、身体はまだ所々痛むし、『力』が手に入ったのは確かだ。
時計を見ると、八時を過ぎたころだった。
寝室に行き、壁と変わりのないタンスから下着を見つけ、服も探したが、服は今着ているものだけのようだ。
まあいいか。バスタブにシャワーを浴びに行った。
シャワーを浴びてから服を着て、鏡を見ると思わず驚きの声を漏らしてしまった。
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