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実験の目的である、『記憶の消去』は確かに成功した。
だが被験者達は過去の『想い出』だけでなく、言葉、歩き方、形や色の名詞、およそ脳が『記憶』する全てを消し去ったのだ。さらに数人の被験者は精神崩壊を起こし、死亡した。
これがきっかけとなり、ロシアは世界中から批判を受け、人間の脳に対する謎が解けることはなかった。
有名な事件だ…。
ジェイドが口を開く。
「これ以上は時間を無駄に出来ない。
これから数ヶ月で英語の他にフランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語、中国語、ハングル語、様々な言語を学んでもらう。まずは英語だな」
「どうやって?」
「ここのホログラムを利用する。学校のように教えていても身につかないからな。より実践的に学習する。
この薬を飲め」
赤と白のカプセルを渡された。
「これは?」
「勉強に対する集中力が上がる薬だと思え」
本当に覚えれんのかな…。
ジェイドが口をにやけさせながら言った。
「英語を覚えれば、ここのテレビも普通に見れるし、あの執事も無理に日本語を喋らなくて済むから会話も出来るようになる。私も助かるしな。
では始めるぞ。
薬を飲んでそこに座れ」
薬を飲むと、頭がだんだん白くかすんでいった。
「睡眠学習に近い方法だからな。せいぜい頑張れ」
ジェイドが去っていく。
周りにホログラムが映し出され、「勉強」が始まった……。
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