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ジャックがジェイドからチップを受けとると、テーブルの横にかがみ、今まで自分が気付かなかったテーブルの隙間にチップを挿入した。
すると、テーブルの脚の部分に操作盤が現れ、ジャックが操作する。
テーブルの真ん中に直径15cm程の穴が開いたかと思うと、奥から小さな白い球状の物体が出てきた。
同時に部屋の明かりが弱まり、ジャックが操作盤に暗証番号のようなものを打ち込む。
すると、球状の物体から光が溢れ、その光が形を為していく。
3Dホログラムだ。
あの球状の装置はデータをホログラムで再生するものだろう。
赤い光で人の型が浮かび上がった。
細かい筋肉組織で構成されている人体模型のようだ。
ジャックがサングラスをかけ直すと説明を始めた。
「記憶ショックは知ってるだろ?」
4年前のロシアで起こった記憶消去の実験の事だ。この事件は『記憶ショック』と呼ばれ、日本でも大いに騒がれた。
「ロシアは当時、非人道的だと非難された。だが、それよりも遥か以前からロシア政府とは別に、ロシアの軍が独自の人体実験を行っていた。
その実験とは人間を『改造』し、驚異的な生体軍事兵器を造り出すものだった。これは軍で極秘に行われたため、今でも知ような組織を除けばひと握りだ。
極秘の人体実験は確かに成功した。
だが、その被験者は兵器としてのテスト中に暴走し、その後は破棄処分となった。
だが、アメリカ政府と軍はこの技術を密かに買い取り、技術を進化させ、ついにその技術を完成させた。
政府は成功に喜んだが、軍は後にこれが未知の驚異になるとして生体兵器計画の一切を闇に葬った」
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