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「………」
「簡単に説明しよう。君と血の繋がっている者は恐らく全て殺された」
その事実にはもう、感覚が麻痺して何も感じなかった。
続けて彼は喋る。
「結果として、君は身寄りもなく、独りだ。
そこで、我々が君に『安全』と『保護』を差し出そう」
ここは警察機構なのだろうか?
「その代わり、君は我々の組織の一員となってもらう。
仕事の内容は様々だが、君に充実をもたらしてくれるはずだ。
『外の世界』で胸を張れるようなものではないがな」
もっと詳しいことが知りたかった。
自分には他に選択肢はないし、選択権すらない。
だからせめて、抽象的な言葉だけでなく、納得するような説明が聞きたかった。
「詳しいことは後だ。
まずは施術からだ」
さっきからこちらの考えが見透かされているようだ。
その黒人がマジックミラーに向かって、誘うように指を曲げると、白衣に身を包んだ男が何人も来た。
手足を持たれ、抵抗する間もなく、薬を打たれた。
またかよ……。
遠のく意識の中、耳元で声が囁く。
「君は生まれ変わるのだ」
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