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グニィ……
「えっ!?」
確かに蹴りはドレインの首にヒットした。
しかし、その首は蹴り足を包み込むかのように伸び、人間離れしている。
首がグニャリと伸びて歪んでいる光景はあまりにも不気味だった。
すぐに蹴り足を引いて、気持ちの悪い首から引き離す。
すると、その足の動きに合わせてドレインの首も瞬時に元に戻った。
「ふむ……」
ドレインが調子を確かめるように自分の首を左手でさする。
一体何で…………。
ふとドレインの足元を見る。
その足は白い床に僅かに沈んでいた。
床自体は鈍いテカリを放ち、弾力性があるのが分かる。
あれはゴム製の床…………。
そしてそこでドレインの身体の謎が解けた。
自分の身体を足を通して床の材質に同化させたんだ…………。
それがドレインの法力の能力なのだろう。
「理解が早いようだ」
ドレインがこちらに背中を向けて歩き出す。
数歩進んでから立ち止まったのは水の張った床だった。
すると、先程自分が銃弾で穿った服の背中の穴が液体のような動きで覆われ、元通りに塞がる。
これがこのドームの造りの理由…………。
全てはドレインの能力を最大限まで生かすために、それが『スペース・オブ・トップ』の由来なのだ。
「さあ、続きだ」
ドレインがこちらを向き、にやりと笑った。
恐らく彼はどこに何の床があるか全て把握してる。
状況で言えばこちらが圧倒的に不利だ。
打開策を必死に考えながら、自分も法力を解放する。
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