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だが、そんな身体中の激痛にかまけている暇はない。
一方のドレインはほぼ無傷だ。
正確には傷をつけても、水や粘土質のものに身体を変化させ、すぐに傷を消してしまうのだ。
それにダイヤモンドや特殊合金の床に立たれると厄介極まりない。
かすり傷をつけるので精一杯になるのに、それもすぐに修復される……。
たとえ傷は修復出来てもダメージや若干の痛みは残るようだが、それでもこちらが不利なのは当然だ。
「なら続きだ」
ドレインが跳躍して目の前に着地する。
「くっ…!」
重たい足を引きずりながらもすぐにドレインから距離を取ろうとする。
ドレインが着地した床は人工革で出来た床だった。
「遅いな」
スパァン!!
高密度の図太い鞭と化した右足で放つ廻し蹴りは想像を絶する衝撃を有し、空気を切り裂いて凄まじい炸裂音を響かせる。
ガードはしたものの、その強烈な攻撃で10メートル以上離れていたはずの壁に一瞬で吹っ飛ばされ、思い切り叩きつけられる。
意識が途絶えそうになりながらも、すぐに頼りない足取りで立ち上がり、法力を解放して構え直す。
近づいてくるドレインに対し、『白光』を放つが水や特殊合金の床のみを選んで歩くドレインには殆ど効果がなかった。
「まだそんな気力があるとはな……。
だが、あと何分耐えられるかな」
水の床にいるドレインが、自分の傷が塞がっていくのを眺めながら言った。
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