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~アナスタシア基地、同ドーム内・アンダースペース~
ゴゴゴゴゴゴ…………
「何の音だ?」
イラマニチェフが辺りを見回しながら誰もが思った疑問を口にした。
ゴリラの出来損ないになっても言葉は喋れるようだ。
「……その様子からして、あんた達にとって良い事ではなさそうね」
「黙れ!」
イラマニチェフが足に更に力を込める。
「ぐうぅ……!」
腹部を更に圧迫され、口に残っていた血が唇の端からこぼれ落ちた。
そう、今は『変身』したイラマニチェフに文字通り踏みにじられている嫌な状況なのだ。
だが、少なくとも『最悪』ではない……。
「残念だったわね……」
「その様で何言ってやがる」
イラマニチェフが足に捻りを加える。
しかし、口元から血をこぼすことはもう無く、余裕のあまり笑みが浮かんだ。
イラマニチェフがその様子に困惑し始め、全体重をその片足にかけるが、余裕の表情は一向に消えない。
もはや苦痛を感じなくなったからだ。
「時間切れよ」
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