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壁に背中から衝突し、そのまま崩れ落ちる。
「くそったれが―――」
グシャア!!
悪態をつきながら起き上がろうとしたイラマニチェフの顔面に再度飛び蹴りを喰らわせ、追い討ちをかける。
そこからさらに突き、蹴り、肘打ち、膝蹴りなどの打撃を崩れたままのイラマニチェフに流水の如く息つく隙もなく次々と浴びせていった。
そして、フィニッシュに後ろ廻し蹴りを叩き込み、攻撃を止める。
というより、既に攻撃する必要が無くなったのだ。
「あら、もう動かなくなっちゃった……」
もはや法力が解け、普通の人間の姿に戻っていたイラマニチェフはぴくりともしなくなった。
首を含めた身体中の関節がグロテスクな状態になっていて、誰が見ても『死んでいる』のだと分かる。
「…………なるほど、それが本気のお前というわけか」
傍らで見ていた狼もどきのアンドレエフが口を開いた。
「あなたもすぐに殺してあげる」
「悪いが、そう上手くいくとは思えん」
アンドレエフが先程の法力解放のときとは違う呪文を唱え出した。
そして、呪文を唱えていく内に身体を覆っていた体毛が白に近い銀色に変わっていった。
全力解放か……。
「さあクレア、続きをやろうか」
「面倒ね…………。
こちらこそ悪いけど、仲間が心配になってきたからもう終わりにするわね」
そう言ってから、自分も呪文を唱え、法力を解放する。
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