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鮮やかな血液がキリアの破れたロングコートを伝って床に落ちる。
その床は水の張られた床で、落ちた血が水の中で煙のように広がっていく。
「もう終わりだ、キリア」
キリアにゆっくりと歩み寄る。
彼女は黙ったまま、再び構えを取った。
構えるだけで限界なのか、身体が震えている。
「もう終わりなんだよ!!」
そう叫んでキリアに向かって突っ込んで行った。
この言葉はキリアだけに向けたものではなかった。
ドームの外のヒューリーに対してスレイヤー本部のキンバリー・ウォーターズ、ドームのアンダースペースのイラマニチェフ、アンドレエフに対して『あの』クレア、メインルームに送った用心棒達に対して『白銀と千里眼』を持つジャック、そして教団『ファラオ』の支部を壊滅させたリベリオン……。
どう考えても勝ち目はなかった。
たとえここで逃げても『アナスタシア』の壊滅は確実だ。
ならば、こいつだけでも道連れにしてやる…………。
突然、キリアが一歩踏み込んだ。
あまりに不意な行動に、思わず足が止まった。
そしてキリアが何かしでかす前に攻撃に移る。
すぐに革製の床に足を置き、亜音速に近いスピードで鞭と化した腕をキリアに振るった。
しかし、同時にキリアが自分の最後の力を引き出し、これまでのどれよりも強い法力の白光を放った。
キリアを吹っ飛ばした直後、斜めに扇状に拡散する白光が自分の身体に炸裂する。
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