41548人が本棚に入れています
本棚に追加
「あー、長かった……」
ジェット機から降り、およそ10数時間ぶりの大地に立って身体を思い切り伸ばす。
機内は快適そのものだったが、やはりこうして数時間後に密閉された空間から解放されて外の空気を吸うのは気持ちのいいものだ。
その後、デニスに手伝ってもらった『お礼』―――ジャックが持ってきたスレイヤーからの正当な報酬と言ってもいい―――を渡し、デニスと別れて来たときと同じようにジャックの車でスレイヤーの基地に向かった。
「雪か……」
ジャックが口にした通り、ニューヨークには雪が降りしきっていた。
しかし、モスクワから帰って来た後ではあまり新鮮さはなかった。
「バイクにはキツいな………」
「車も使ったら、ディック?」
「前々から考えてたさ。
ところで、これからどうするんだジャック?」
「まずはスレイヤーに戻るが、キリアはすぐに家に帰れるだろうな。
俺達より1日先に帰国したキンバリーが大体の任務報告をすでに終えている。
少し任務報告をさせられてからはすぐ帰れる」
「そう、良かった……」
「だがディック、お前は違うぞ」
キリアと一緒に安堵の溜め息をつこうとしたが、ジャックに指名される。
「お前にはニーナから精密検査を受けさせられるそうだ」
まあ当然といえば当然か……。
「ひょっとしたら解剖させられるかもな。
何せ彼女の医学的見解予想をぐちゃぐちゃにしたんだからな」
「………………やっぱり帰るよ」
そんな願いを聞き入られることもなく、車はスレイヤー本部へと順調に向かっていく。
最初のコメントを投稿しよう!