41546人が本棚に入れています
本棚に追加
「……凄い力…。
何か…した?」
呆然と自分の体を見つめながらそう言うと、奥の部屋から出てきたジェイドが答えた。
「それが『施術』だ。
今の君の身体能力は並の人間を遥かに凌駕している。
砕いて言えば、君に施したのは『改造手術』だ」
「一体どうやって……」
未だに信じられなかった。夢ではないかとずっと思う。しかし、そう自覚していることがこれは現実だという証拠だ。
夢の中では自覚が出来ない。
「君の体の筋肉組織や神経、骨に至るまで細胞レベルで『いじった』のだ。人工筋肉を仕込み、神経の補正・補強、そしてDNAの配列の調整や組み換えも行った。
『生まれ変わった』のだよ」
その説明を聞いたとたん、軽い恐怖と不安を感じたが、すぐに大きな興奮と好奇心にかき消された。
「もっと試したいだろうが、まずは君の『これまで』と『これから』、その他詳しい事の説明が先だ。ついて来い。」
そういうとジェイドはエレベーターに向かった。
そういえば……。
ある事に気付いた。
前までは眼鏡かコンタクトを着けなければ、少し離れた人間の顔も分からなかったのに、今では7メートル先で後ろを向いているジェイドの短い髪の毛が細かく見えた。
見ようと思えば、ジェイドのスーツの編み目すら見えそうだ。
「早くしろ」
急かされ、小走りで後を追った。
着いたのは少し広めの白い部屋だった。
角にパイプベッドが置かれ、壁にはマジックミラー。
最初に連れてこられた部屋だ。
中央には前まではなかったグラステーブルと二つのイスが置かれていた。
「座れ」
自分がイスに座ると、ジェイドもそれに続いた。
「さて、始めようか」
最初のコメントを投稿しよう!