引き金

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「……凄い力…。 何か…した?」 呆然と自分の体を見つめながらそう言うと、奥の部屋から出てきたジェイドが答えた。 「それが『施術』だ。 今の君の身体能力は並の人間を遥かに凌駕している。 砕いて言えば、君に施したのは『改造手術』だ」 「一体どうやって……」 未だに信じられなかった。夢ではないかとずっと思う。しかし、そう自覚していることがこれは現実だという証拠だ。 夢の中では自覚が出来ない。 「君の体の筋肉組織や神経、骨に至るまで細胞レベルで『いじった』のだ。人工筋肉を仕込み、神経の補正・補強、そしてDNAの配列の調整や組み換えも行った。 『生まれ変わった』のだよ」 その説明を聞いたとたん、軽い恐怖と不安を感じたが、すぐに大きな興奮と好奇心にかき消された。 「もっと試したいだろうが、まずは君の『これまで』と『これから』、その他詳しい事の説明が先だ。ついて来い。」 そういうとジェイドはエレベーターに向かった。 そういえば……。 ある事に気付いた。 前までは眼鏡かコンタクトを着けなければ、少し離れた人間の顔も分からなかったのに、今では7メートル先で後ろを向いているジェイドの短い髪の毛が細かく見えた。 見ようと思えば、ジェイドのスーツの編み目すら見えそうだ。 「早くしろ」 急かされ、小走りで後を追った。 着いたのは少し広めの白い部屋だった。 角にパイプベッドが置かれ、壁にはマジックミラー。 最初に連れてこられた部屋だ。 中央には前まではなかったグラステーブルと二つのイスが置かれていた。 「座れ」 自分がイスに座ると、ジェイドもそれに続いた。 「さて、始めようか」
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