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「先程も説明したように、君の身体はすでに並の人間とは比べものにならない程、『改良』された。
莫大な資金と器具、最新の技術と設備、全てを投じたのだ。
さっきのシュミレーション室でも分かっただろうが君の身体能力は今や常軌を逸脱している」
本当にこんなことが…。
不安と恐怖が湧き出るが、大きく感じるのはやはり好奇心。
「君にはその身体能力を生かし、『仕事』をしてもらう」
「仕事?」
「我々が依頼された、もしくは我々が依頼する仕事を君が実行する。簡単だろう。当然、依頼主からの報酬は君にも支払われる。
仕事の内容は様々だろうが、大抵は「暗殺」などだろう」
アサシン…、つまり人殺し……。
「言っておくが君には選択肢はない。あの事件から二日後に君の家を調査させようとした。だが君の家は家具も含めて全て消えていた。跡形もなくな。
そして君の名前や戸籍、とにかく君に関する情報は全て消去した。これは我々が君の安全を守るためにしたことだが、これで君は社会的に『存在していない』ことになる」
だが答えは最初から決めていた。
もう、従うしかないと……。
それにこういうのは嫌いじゃない。
「仕事の内容は他にはどんなのを?」
ジェイドは白い歯を出してニヤリと笑うと、答えた。
「やる気はあるみたいだな。
具体的に言えば、『暗殺』の他に『情報収集』、『護衛』、『偵察』や『潜入』だ。他にもあるが、メインとなるのはこれらだろう」
「でも、いきなりやれって言われても……」
「安心しろ、仕事をしてもらう前に数ヶ月は時間をもらう」
何をするかは容易に察しがついた。
そして察しの通りジェイドが言った。
「訓練だ」
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