~第一章~     我が家族は頭がおかしい編

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「それじゃあ、すまなかったな。私は少し急いでいるから……」 「あ、はい。こちらこそすみませんでした」 あたしからぶつかったのに……いい人だな。 と、少し歩いた所で彼女が―――なんか空に向かって話しかけている。 頭がおかしいのか……それとも、“霊でも見えてるのか”。 別に霊を信じてる訳じゃない。だが否定もしない。あたしの母も霊が見えるらしいからな。あたしは全く見えないが。 そういえば、今の人……母の勤め先に向かっていた。誰か知り合いでも居るのか……自分の怪我か。 ああ、母の勤め先ってのは病院。あたしの母は看護師だから。 「……ああ。そうだな。急ごう久乃。シュウが待ってる」 向こうで声が聞こえたが、何かは聞き取れなかった。
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