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「それじゃあ、すまなかったな。私は少し急いでいるから……」
「あ、はい。こちらこそすみませんでした」
あたしからぶつかったのに……いい人だな。
と、少し歩いた所で彼女が―――なんか空に向かって話しかけている。
頭がおかしいのか……それとも、“霊でも見えてるのか”。
別に霊を信じてる訳じゃない。だが否定もしない。あたしの母も霊が見えるらしいからな。あたしは全く見えないが。
そういえば、今の人……母の勤め先に向かっていた。誰か知り合いでも居るのか……自分の怪我か。
ああ、母の勤め先ってのは病院。あたしの母は看護師だから。
「……ああ。そうだな。急ごう久乃。シュウが待ってる」
向こうで声が聞こえたが、何かは聞き取れなかった。
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