《錆つくには早すぎる》

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  使い込むほどに、 手に吸い付くように馴染むモノ そんな持ち物に出会える確率とは いったいどの位のものだろう。   それは、人それぞれ… 美容師の鋏だったり、  物書きのペンだったり、 あるいは…  使い続けたカバンだったり…   他の物ではダメで、  それが無ければ始まらない… そんな持ち物、人はひとつくらい持っているものだろう。   私のZIPPO群の中に、  前回(老兵)として紹介した最初の一個がある。   これを使いはじめた頃、まだコレクションしようなどとは思ってもなくて、毎日ただの道具として使い続けた。   何の変哲もない真鍮製のライター。 他人は「ライターなんて火がつきゃ100円ライターで十分」などと言い、 「俺も昔はZIPPO使ってたよ」と、100円ライターで火を点けたタバコを吹かす。   まるで〔卒業した〕とでも言いたげな口調で。   そんなもんだろうか…  私がガキなのか? 彼が大人なのだろうか…   使って使って使い倒したZIPPOは、ガタガタの蓋を開けると何度もこすらないと火が点かないほど、あの頃の私の想いが染み込んでいるというのに…image=94786191.jpg
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