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おはようと挨拶を交わす生徒の中、花音は無言で通り過ぎて行く。
今日は陸をまだ見掛けていない。
教室に着いても陸の姿は無かった。
おかしい…。
高校に入学してから陸が休んだことは無かった。
もし休んだにしても律儀な陸ならメールなり電話なりしてくるハズだ…。
段々と心配になってくる。
「あっあの…」
声を掛けて来たのはクラスメートの星野三樹だった。
一応クラスメートの顔と名前は覚えている。
陸に無理矢理覚えさせられた。
その星野三樹の話によると、陸は昨日のバカトリオに連れて行かれたらしい…。
「ありがとう、教えてくれて…」
作った笑顔なんかじゃなく、花音は本物の笑顔で笑った…。
いえ、と言ったままうつ向いて星野三樹は仲間の元へ帰っていった。
その後、星野三樹が花音のファンクラブを秘かに作るのはもう少し先のオハナシ。
そしてそのファンクラブに学校の半数の人間が入ることになるということも…。
花音の隠れファンは意外に多かったようだ。
陸が連れて行かれた場所は学校近くの空き地だった。
全く、ありきたりな…。
走って向かう。
着いて目に入った光景…。
ボロ雑巾のような陸の痛々しい姿だった…。
それを見た花音の中のストッパーが外れた。
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