03.来る者拒まず、去る者追わず

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  龍也は顔が良いからモテる。 一週間に最低一回は告白されてて、こんな呼び出しもしょっちゅうだった。 だから、今更、なんだ。 なのに、ほら、また。 ズキン 心が、痛む。 龍也はまさに『来る者拒まず、去る者追わず』だった。 それがいつ始まったのかよくわからないけど、彼はいつの間にか彼女を作って、綾が悲しむ暇もないくらい早く別れていた。 そして綾がホッとしたのも束の間、その少し後にまた新しい彼女を作って。 全部相手から告白して、相手から別れを切り出していると聞いた。 龍也はそのことについてあまり話さないから、噂でしか知らないけれど。 (じゃあ、あたしが告白したら、付き合ってくれるんだろうか) 綾の頭にそんな考えが何回か浮かんだが、彼女はそれを実行することが出来なかった。 『綾』 そう呼んでもらえなくなることが、何よりも怖かった。 今の関係を壊すことなんて出来ない。それが綾が出した結論だった。 昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴ると同時に、龍也が教室のドアを開けた。 「お、おかえりー」 「どうせまた告白だったんだろー? 羨ましいぜチクショー!!」 「るせぇよ、関係ないだろ?!」 騒ぐ龍也たちの話を聞かないように、綾は机に突っ伏した。 隣で瞳が心配そうな顔してたような気がするが、今の綾は龍也の話を聞かないようにするだけで精一杯だった。  
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