3人が本棚に入れています
本棚に追加
「綾ー帰るぞー」
終わりのSHRが終わった後、龍也は当然のように綾に帰ろうと言う。
「はーい、ちょっと待ってー」
いつも不思議に思っていた。
龍也は彼女が出来ても昔と変わらず綾と帰るが、彼女はいいんだろうか。
(まぁ、それに甘えてるあたしもあたしだけど)
「ねぇ、」
「ん?」
だけど今日はどうしても聞きたかった。
「今日、告られたんでしょ? んでOKしたんでしょ? あたしなんかと帰ってていいわけ?」
全部質問になってしまった。言ってから、言わなければよかったと少し後悔もした。
「あぁー……うん、告られてOKしたけどさ。つか今更じゃん」
「いや確かに今更だけどさ、今までも、どうなのかなーと……」
綾の言葉に、龍也はちょっと驚いていたようだった。
龍也に彼女ができてから、綾はこういった話題に触れないようにしてたからだろう。
「だってさー……昔から俺らって一緒に帰ってんじゃん?」
少し考えた後続いた言葉に、綾は無言で頷く。
「なんか綾と帰るの習慣になってて、今更変えられないというか……」
(……この男は……天然タラシか?)
「でもさ、それって彼女怒るんじゃないの?」
嬉しいけど、とりあえず今は抑えて聞いてみる。
「あぁ、最初の方の子らはかなり怒ってたかな。ほとんどそれが原因で別れたようなもんだし」
第三者から見たら、彼はきっと最低な男なんだろう。
「でも最近はみんなわかってきたみたいでさー、それでもいいから、って言ってくる子のが多いからそれに甘えちゃってるわけ」
綾も「噂にもなってたみたいだしなー」と言って笑ってるこの男を怒鳴ることはできるのに。
「ヘぇー……そりゃありがたいね」
それをしないのは、それでも龍也に傍にいてほしいという綾のわがままだった。
最初のコメントを投稿しよう!