01.突き放してください

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  夜、自室で勉強しているとベランダの窓を叩く音が聞こえた。 綾はあからさまにため息を吐くと、窓の鍵を開ける。 ベランダには、幼馴染の龍也が立っていた。 「いやいや、すみませんねぇ」 「そう思うんなら毎回毎回ベランダから侵入してこないでくれる?」 ひらりと自分の部屋のように入ってきた龍也に、わざと嫌そうな顔をする綾。 今やこれはほぼ毎日のことで、これがないと寂しいと感じるなど自分は相当重症だと、苦笑する。 「……で、今日は何?」 窓を閉めながら言うと、満面の笑顔で両手を差し出してくる龍也。 その手の意味がわからなくて首を傾げていると、彼はさらに笑みを深くする。 「宿題見せて」 それはもうニッコリと、語尾にハートマークでもつくんじゃないかというくらい笑顔で。 「……またですか……」 そう言いながらも差し出された両手に宿題のノートを乗せている自分は、やっぱり重症じゃないかと思う。 「サンキュー! さすが綾!!」 そう言ってご機嫌で綾の机に向かう龍也。  
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