01.突き放してください

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  綾と龍也は幼馴染で、小さい頃からずっと一緒にいた。 今も同じ高校に通っていて、なぜか同じクラス。腐れ縁にもほどがあると思った。 「……ってちょっと待て。何であたしの部屋でしようとしてるわけ? 自分の部屋でやりなよ」 普通に、当たり前のように綾の部屋に居座ろうとする龍也。 「だって俺の部屋でやったらすぐ遊んじゃうし。それなら綾が監視してくれてた方がいいし、何よりノートすぐに綾に返せるじゃん。だから、な?」 「監視って……」 言い方が悪いと龍也を見ると、苦笑に近い笑みを浮かべてこちらを見ていた。 (あぁ、そんな顔されたら……) 「あーもう! わかったわよ、好きにすれば?!」 また、許してしまう。 「マジ?! サンキュー!!」 (あ、これ。この笑顔) 自分はこの、子供のような無邪気な笑顔に弱いのだ。結局はこうして、いつも自分が折れてしまう。 これも惚れた弱みというものだろうか。 ――叶わないと、知っているのに。  
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