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綾と龍也は幼馴染で、小さい頃からずっと一緒にいた。
今も同じ高校に通っていて、なぜか同じクラス。腐れ縁にもほどがあると思った。
「……ってちょっと待て。何であたしの部屋でしようとしてるわけ? 自分の部屋でやりなよ」
普通に、当たり前のように綾の部屋に居座ろうとする龍也。
「だって俺の部屋でやったらすぐ遊んじゃうし。それなら綾が監視してくれてた方がいいし、何よりノートすぐに綾に返せるじゃん。だから、な?」
「監視って……」
言い方が悪いと龍也を見ると、苦笑に近い笑みを浮かべてこちらを見ていた。
(あぁ、そんな顔されたら……)
「あーもう! わかったわよ、好きにすれば?!」
また、許してしまう。
「マジ?! サンキュー!!」
(あ、これ。この笑顔)
自分はこの、子供のような無邪気な笑顔に弱いのだ。結局はこうして、いつも自分が折れてしまう。
これも惚れた弱みというものだろうか。
――叶わないと、知っているのに。
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