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翌朝、やはり龍也は起きれなかったようだが、それでもきちんと時間通りには来ていた。
「ゴメンッ! 待った?」
ドタドタと慌しい足音と共に、焦ったように家から出てくる龍也。
「待った。けど、家でのんびりしてたから外ではそんなに待ってない」
龍也が朝に弱いのは昔からだったのでどうせ今日も寝坊すると思い、彼の家から慌てた声がするまで家でくつろいでいたのだ。
そう言うと、龍也は呆れたように「あーそーですか」と言った。
「……拗ねてる?」
「拗ねてねーよ」
先に歩き出してしまった龍也はそう言うが、顔が拗ねた顔をしていた。
(そういうトコロ、変わんないんだね)
季節はもう冬で、二人の首にはマフラー。
駅に向かう途中、白い息を吐きながら隣を歩く龍也をチラリと見る。
そういえば帰りはいつも騒ぎながら帰るから、こうしてあらためて龍也の横顔を見るのは久しぶりだった。
龍也はまだ眠いのか、時々欠伸をしながらボーっとしている。
同じくらいだった背はいつの間にか彼のほうが断然大きくなった。
家ではお互い相変わらずだが、前ほど学校で話さなくなった。
龍也ばかりが先に大人になって、置いてけぼりにされた気分だった。
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