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ガラガラと音を立てて、教室のドアが開く。
「お、なんだよ龍也ー、今日は遅刻しなかったのか?」
教室のドアを開けるなり、龍也の友人が笑って声をかける。
「うるせー。俺だってやる時やるんだよ!」
「それ聞いたの何回目だよー!!」
そんな会話を聞きながら、自分の席へ行く。
「おはよー綾」
「あ、おはよう瞳」
ちょうど席についたところで、親友の瞳と挨拶を交わす。
「なーにー? 二人で仲良く登校しちゃって。なんかあったの?」
瞳は綾の良き理解者であり、綾が龍也を好きなのも知っている。
「んー……その話は、また昼休みにね。先生来たし」
ニヤニヤと笑みを浮かべて問い掛ける瞳にとりあえずそう言って、担任が来たことを伝える。
瞳は「じゃ、後でね」と言って自分の席へ戻っていった。
その後、普段滅多にこの時間にいない龍也を見て担任が心底驚いていたことは、また別の話。
「……んで? 何があったわけ? あの遅刻常習犯の彼がえらく珍しい行動とったもんだね」
「……遅刻ギリギリなだけで遅刻はそんなにしてないよ……」
昼休み、中庭で弁当を食べながら話す。
「……この間さ、」
「うん」
瞳は綾のどんな話でも、真剣に話を聞く。
「一緒に帰ってる時、ポロッと言っちゃったんだよね。『満員電車でオヤジ達の視線が嫌だ』って。そしたら昨日、突然『ボディーガードやる』なんて言い出しちゃって」
簡潔に事の次第を述べる。
「ふーん……意味不明だねぇ、彼も」
お弁当をつつきながら答える瞳。ここまで遠慮のないツッコミが言えるのも、瞳だけかもしれない。
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