02.不器用なせいで

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  「だよねぇ……でもあいつの中であたしはただの幼馴染みなんだよ、きっと。だから今日のことだって多分、深い意味はないと思うし」 「……」 (そう。あいつは単純バカだから、ただ単に困ってるあたしを助けたかったんだ) ――それだけ、なんだ……。 「……ねぇ、綾……」 「ん?」 箸を置いて、真っ直ぐに綾を見る瞳。 「しないの? 告白」 なんとなく予想は出来ていたから、綾もあまり驚きはしない。彼女たちはもう何度も、こんなやり取りを続けてきたのだ。 「何回も言ってるでしょ、そんな気はないって。あたしは今のままがいいの」 (嘘ばっかり。本当は今の関係を壊すのが怖いだけのクセに) 綾は弁当を片付けながら、苦笑する。 瞳がまだ真剣な顔しているから、もしかしたらちゃんと笑えてなかったのかもしれない。 「……わかったわよ、まったく。いつまでたっても不器用ね、アンタ」 瞳の呆れたような声にまた苦笑する。 (ホント、不器用だね、あたしは) 多くは望まなかった。ただ、傍にいられるだけでいいと。 だけど、いつからかな。 あたしは、それ以上を望んでしまった。 臆病なあたしは、『不器用なせいで』を言い訳にして、この気持ちに蓋をしたかったのかもしれない。  
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