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その日はいつもとは少し違っていた。
私は、友達の由宇に誘われ初めて生でライブを見たからだ。
ビジュアル系ロックバンドジャスティスのイケメンボーカルカイルの歌声が私を変えた。
「…雪麻(ユマ)大丈夫?ボーッとしてるわよ。」
「由宇…私、初めて生でライブっての見たけどいいね✨カイルの美声が聞けて良かったよ🎵」
「へぇ~雪麻もやっと分かるようになったんだ。ロックなんて煩いから嫌!って言ってたのにね。」
「ん~😓今日のは特別よ。私、聞き惚れてるからね。吸い込まれる様なぐらいいい声してるから。」
「声に感激してるの?カイルは競争率高いわよ。」
「えっ!?💦そういうんじゃないわよ!」
「じゃあ、何?」
「その人がどうとかじゃなくて人を魅了する歌声に感動してるの。」
「固いわね。」
由宇は、ミーハーなビジュアル系大好きな女の子。私は、普通に音楽を聞いてるだけの女子…
世界が違い過ぎるのかもね😔
「最後の曲聞いて下さい。」
電気が消されてボーカルのカイルにだけ照明が当てられた。
そして、彼はお客さんである女性達の方を見つめながら歌った。
バタッ
「由宇?どうしたの?」
「…」
由宇は、私の前でいきなり倒れた。
すると、周りにいた女の子達も次から次に倒れて行った。
最後に残ったのが私だけ…
「へぇ~っ、カイルの歌声聞いて倒れない女の子がいるなんてレアだな?」
「カイルの声は、悪魔の美声と言われていて女性なら聞けば誰でも虜になる筈ですがね。」
「興味が無いんじゃないのか?」
ジャスティスのメンバーが私に注目した。
カイルも歌うのをやめて舞台から飛び下りて私に近付いて来た。
「…初めて見る顔だな。俺の声に感じない女なんてお前が初めてだ。」
「…私は、友達に連れられて初めてライブに来たんです。貴方の声はいいとは思いますがそれ以上は何も思いません。」
「ハッキリ言ってくれるな。俺が誰か知ってて言ってるのか?」
「ジャスティスのボーカルのカイル…それ以外の事は知りません!」
「俺は、本当は悪魔なんだぜ。人間の女の気を少しだけ頂いて食ってるんだ。なのにお前だけは、倒れ無かった。」
「悪魔…証拠はありますか?」
「何だと?悪魔の証拠を見せろと言うのか?」
「お嬢ちゃん、カイルを怒らせない方がいいよ。」
「悪魔なんて事実上存在しません!非現実的過ぎます。」
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