13人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
鬱蒼と木々が生い繁る深く暗い森。
湿気を含んだ重たい空気を押しのけるように動く、一つの影があった。
「・・う・・く・・・」
それは、顔立ちにまだ幼さを残す少年だ。
紺色の制服に白色のシャツ。
クセが強く跳ねた髪は、少年の意思の強さを表しているかのようだ。
「ここは・・・?」
少年はうっすらと目を開くと、身体を起こして辺りを見回した。
辺りに人の気配はない。森は薄暗く、どこか淀んだ雰囲気を漂わせている。
両手に抱えてもまだ余るほどの太く大きな木々が多く見られる。
森の、相当深い場所にいるのは間違いないようだった。
最初のコメントを投稿しよう!