目覚め

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ガツッ! 「あっ!・・とと・・」 颯太は、地面から覗く太い木の根に足をとられて躓いた。 これで歩き出してから三回目となる。 別に颯太の歩き方が悪いとか、足に怪我を負ったというわけではない。 「はぁ、はぁ・・・ふぅー・・・」 颯太は足を止め、額に張り付く前髪をかきあげ、シャツの胸元をパタパタと上下させた。 暑いのだ。それも尋常ではなく蒸し暑い。 湿気を含んだシャツや制服は重量を増し、張り付いたそれが手足を引っ張る。 必要以上に体力が削られ、熱に浮かされた頭はクラクラと揺れた。 「はぁ・・・はぁ・・・」 僅かな休憩を挟みつつ、ひたすらに歩く。真っ直ぐに歩いているつもりだが、定かではない。なにしろ、幾ら歩いても景色に変化が見られないからだ。 森の出口に向かっている様子もない。もしかすると、深奥へて踏み込んでいるのかもしれない。 流石に疲労もピークに達しようとした時、 「・・・あ・・・?」 チカリ、と視界の隅に光るものを見た。 明かり?人がいるのかもしれない! そう思うと、弾けるように体が動いた。 木々の枝を避け、根を飛び越えて、光の見える方向へ走る。 そこには--。
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