出会い

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「だ、誰だ!?」 飛び起きて、辺りを見回す。 小さな、しかしかなり近い所から聞こえた。 確かに、人の声だったと思う。 「…隠れているのか…?」 何故。 向こうから声をかけてきたのだ。隠れる理由がわからない。 剣を中心に、ゆっくりと回転しながら辺りへ気を配る。 姿が見えない以上、警戒しておくべきと判断した。 だが… 「落ち着いて欲しい」 「っ!?」 また、声。 しかも、最初に聞いた時と変わらない距離間。 「どこにいるんだ!?」 「大きな声を出さずとも、目の前にいる」 目の前。 その言葉に、森へと送っていた視線を下げた。 目の前にあるのは、一振りの剣。 それだけだ。 「えっと…つまり…」 「私だ」 声は、目の前の美しい剣から発せられていた。 「あ…うん…えぇ?」 何がなんだかわからない。 颯太の知る限りでは、剣は言葉を喋るものではない。 というか、物だ。音を発する器官があるわけもなし。 しかし、 「驚かせてしまって、すまない」 どうやら間違いなく、目の前の剣が喋っているようだった。
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