12144人が本棚に入れています
本棚に追加
大きな玄関で靴をはきながら、いつもと同じセリフを口にする。
「じゃぁ、行ってくるね。」
お母さんが心配そうに見守る。
心配症のお母さん的には娘に泥棒をさせたくはないらしい。
でも、小さい頃から決まってたこと。
「うん、気をつけて。
今日は何時ぐらいに帰れる?」
靴を履き終わり、立ち上がる。
そして、振り返って笑顔で答える。
「今日は大きい仕事だから。
帰りが遅くても気にしないで。」
そう、今日は市内でも有名な大豪邸である土御門(ツチミカド)家に泥棒に入るのだ。
最初のコメントを投稿しよう!