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「あれ?君、僕の声聴こえるの?姿は見えても声は本人にしか聴こえない筈なんだけど…」
老婆は姿に似合わぬ声色で、似合わぬ台詞を少女に言った。
「…聴こえてます。お婆ちゃんが何者かもぼんやりと…」
消え入りそうな声で答える少女の言葉を、遮るようにして老婆が
「もしかして正体もバレてる?え、嘘じゃなくて?」
白髪混じりの頭を掻きながら、老婆はバツが悪そうに目線を下に落とした。
「…え~っとですね?はっきりとは分からないんですよ。ただお婆ちゃんが人じゃなくて、違う存在って事しか…」
落ち込む様子の老婆に向かって、少女が恐る恐る声をかける。
老婆は顔をあげて、怪訝な目で少女を見た。
「ん??って事は僕の独り言を聞いて、何かを期待して話し掛けただけ?」
二度と三度、頷く少女を見て
「もう、良いか。僕は君らで言う鏡の付喪神。此処にあった古い奴ね。能力を一応持ってて…」
「人の『存在』を奪う・ですよね?」
少女が老婆の言葉を遮って、少し強い口調で話した。
それに対し、老婆は心無い口調で続けた。
「…正解!!よく想像ついたね。スゴイスゴイ。で、それが分かってどうしたの?」
「あの…ですね?私の存在を奪って…欲しいんです…」
少女はまた消え入りそうな声で話をした、
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