6つ

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涙ぐんで叫ぶ少女に化身は 「分からないね。無関心が何だよ。命を投げ出すような事?ふざけるな!!他人の人生を奪う僕が言える立場じゃないけど、自分から死を望むなんてバカのする事だ。死んで何が変わる?何も変わらないよ。ただ一瞬、揺らぐだけ。その後はいつも通りの日常が繰り返される。生きて何かしてみろよ。頼むからさ。世界を変える努力してよ。」 化身は少女の両肩を揺さぶり、泣きながら訴えた。 「僕はこの姿をこの能力を得るまで、ただ見てる事しか出来なかった。僕の目の前を行き過ぎる何千何万っていう人間を、ただ眺めるだけだった。羨ましかったよ、自由に動ける君達が。何で僕はそっち側じゃないんだろう、って何度も何度も思った。80年間ずっとだよ?やっと手に入れた命を投げ出すなんて、僕には絶対できない!!自分から死のうなんて考える奴の気が知れない。例えどんな理由があったとしても…」 言い終えると、化身はがっくりとうなだれた。 その姿を見て、少女は暫く俯き口を噤んでいた。
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