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忙しなく歩く人の中を、留まり天井を仰ぐ一人の青年。
僕はきっとこの街で、駅に居る時間が一番短く、駅を一番多く利用している人間。
ほら、今日も歩くより早く、走るより遅いくらいのスピードで進んでいく。
おや、僕に気付いたみたいだ。
「あれ?え、俺!?どういう事??」
言葉にならない驚きを感じている彼に、僕は掌を翳した。
彼は影を失い、彼の影は僕に移る。
これで彼はこの世界から、認識される事は無くなった。
そして僕は名実共に彼になったわけ。
さぁ、彼の代わりに会社へ行こうか。
仕事なんて、これっぽっちもできないけど…
………ん??
どうやら、まだこの場所から自由には、なれないみたいだ。
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