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夕闇に染まる駅の構内、それぞれの帰路につく人達の雑踏。
「ん~っ。漸く駅の中は自由に歩けるや。」
壁に凭れてそう呟いたのは、着物を召した老婆。
「最後に映したのがこの姿だったけど、動き難いんだよな。体は固いしすぐ疲れる…こんな事ならさっきの金色の髪の男で居た方が良かったかな。」
老婆の言葉を、誰も気に留める事無く歩き去って行く。
忙しないこの街の中で、他人を気にしている暇など無いのだろう。
しかしこの雑踏の中で、1人の少女が話し掛けてきた。
「ねぇお婆ちゃん、姿を移したとか男の方が良かったとかって、どういう事?」
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