神の逆鱗に触れたおにぎり

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恐る恐る顔を上げてみると、至近距離に顔。痛みで歪んではいるが、かなり整った顔立ちをしている。 男?女? 性別がよくわからないけど…とにかく、ぴったりな形容は"美しい"といった感じ。 状況も忘れぼけーっとその顔を眺めていると、その人は少し不機嫌そうに口を開いた。 「…重い。」 低い声。男の人なのか。 一瞬納得して、ふと我に返ればあたしは男の真上に乗っかっていた。 「ぎゃ!ごごごめんなさい!!」 品などかけらもない悲鳴を上げつつ慌てて退くと、男はやれやれと言うようにため息をついて立ち上がる。 改めて見たけど…本当に上から下まで真っ黒な人だ。 漆黒の髪に上下黒の服装、真っ黒な靴。葬式帰りかと思ったけど、喪服とは雰囲気が違う。 そのかわりに肌が雪のように白く、背が高く全体的に線が細い。かといって弱々しいわけでもなく、むしろ逞しい印象だ。 観察を終えてふと見ると、彼は自分の服の一点を見つめてブルブルと震えていた。 彼のその視線を辿ってみるとそこには 「あっ…!」 真っ黒な服に映える真っ白なグチャグチャの ご飯粒たち… あたしの朝ご飯の無惨な姿が、そこにあった。
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