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どうすることもできずにオロオロしていると、しばらくして光は消え、スッと手が離された。
「ハイどうも。これから楽しみに見てるぞ、佐藤実緒。」
やっと動くようになった自分の右手を見つめて、異常がないかを確認していると、頭上から不意に男から満足げな声が聞こえてきた。
その言葉に違和感を感じたあたしは、顔を上げてぽかんとその整いすぎた顔を見つめる。
と、違和感の正体に気づいたと同時に、先ほど目の前で起こった出来事に対する興奮が一気に沸き上がってきた。
「ななななんで名前知ってますですか!?っていうか今の何ですか!?すごい!!どちら様!?マジシャン!?超能力者!?とりあえずサインください!!」
「あぁ!?何勘違いしてんだお前?」
「違うんですか?じゃあもしかして…宇宙人!?ととと友達になってください!!」
「いやいやなんなんだよお前!離せ!つーか落ち着け!ったく…」
興奮のあまりあたしが握りしめていた腕を振り払うと、男は一つため息をついてじろりとあたしを睨んだ。
ちょっとやりすぎたかな…
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