総ての光を飲み込む深い坑

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マキシーン橘に此処の事を詳しく聞いてみるべきだろう。 「訳も判らずに飛ばされたから此処の事を教えてくれよ」と言ったらマキシーンは快く受け入れてくれた。 フッ、人の心の暖かさが身に染みるぜ……。 ヤツは人ではなくて鬼だがな(笑)   どうやら本当に黄泉津比良坂らしい。 黄泉津大穴(坂の終点の死者の落ちる穴の事で、よもつおおあなと読む)迄なんと23万8400里。 確か1里が約4㎞だから約95万3600㎞となる。 ……………万単位かよ。 地球一周より長いんじゃないか? 「でも、総てを歩ききる死者は居ないんだよ。 業、今風に言ってカルマと徳つまり善行によって近道の洞窟に入れるんだ。 連中には入るべき洞窟が神々しく光り輝いて見えるらしい」 なる程、その人の生き様である程度長さが変わる訳か。 悪人程長距離を歩かされるのはなんとなく理に叶っている様な気がする。 で、洞窟は死者専用で生者である俺が入ると問答無用で死亡確定らしい。 マキシーン達鬼の間でも生者用の洞窟は噂話でしかないらしい。 兎に角、神々しく光り輝いている洞窟以外は入らない方が良さそうではある。   「さてと、そろそろ戻らないといけないんだが、あんたも来るか?」 「何処にだ」 「俺達鬼の宿舎だよ。 黄泉津大穴の近くにあってな、ついでに連れてってやるからついて来い」 渡りに船とはこの事か。 結構面白くはあるが、やはり生者でありみんなのアイドルでもある俺がこんな所にいるのは問題であろう。 さっさと在るべき場所に返るのが一番だ。
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