6/20
前へ
/52ページ
次へ
  両手を胸の辺りから這わせるように 徐々に持ち上げ痣に近づける。 面と向かってつけられた痕ではないので 一人では手首が一定以上曲がってくれず 一致させる事ができない。 仕方なしに手首を返し 親指が前にくるようにすると細い首は 指で出来た輪に包まれた。 触れているのに動脈の鼓動は 伝わってこない。   あの時と同じように だけど今度は自分で ゆっくり首を圧迫していく。   途中、ある異変に気がついた。 どれだけ力を込めても 麻酔をかけられている時の様にぼんやりと 感覚が消えていく。 苦しみも何処かへ消えていく。    
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加