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  部屋中の、目に付くものを 手当たりしだい壁に向かって投げ続け 小さなスツールで鏡を割ったその時 セットされていた目覚まし時計が 鳴り響いた。 鬱陶しく耳に響くその音を 床に叩きつけて停止させた。 電池が外れて 五時半を指したまま針が止まった。   外はまだ暗い。 首にマフラーを巻き直して 窓から飛び出した。 割れたガラスが何重にも 私の背を映していた。 一階の屋根に飛び降り 隣の家の塀の上を使って 地上へと着地した。    
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