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素足にアスファルトからこぼれた小石が
歩くたびに食い込んでも痛くはなかった。
死というものは私から痛みさえも奪った。
これからも、眠るまで何かを奪っていく。
次第に遠くなっていく家には
もう二度と戻れないと思った。
父と母はどう思うだろうか。
私の部屋をノックして
返事がないのを確認して
全て夢だったと思ってくれればいい。
けれど荒れた部屋の中を覗いて
現実に引き戻されるだろう。
葬式前に逃げ出した娘を
きっと探しはしない。
涙も枯れてしまった。
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