壱
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「…柚木?」 空の一点を見つめたままの私を 覗き込んできた顔は あまり表情を変えずに言う。 もっと年配の人かと思ったけれど 私と変わらないくらいの年齢だろう。 色白の肌に目の辺りまでかかる前髪が 昇り始めた朝日に透けていた。 「誰?」 「同じ学校の…五組の山本伊月。」 そう名乗りながら 彼は手を差し伸べてきた。 それを無視して一人で立ち上がり 服についた砂をはらう。
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