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部屋で膝を抱えていると、
言い争いにも近い両親の声が
良く聞こえてくる。
日付も変わろうとしているこの時間に
こんなに騒がしいのは
この家だけかもしれない。
それでも、その争いの原因をつくった私は
何も言えない。
改めて自分の両の掌を眺め、
動かしてみる。
死んだ私にはいらないものなのに
素直に動く。
その手も血液が巡らなくなったせいで白く
心臓の鼓動も聞こえてこない。
たとえ意識が
此処にあったとしても死体なのだ。
動いている理由は誰にも解らない。
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