2/20
51人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
  部屋で膝を抱えていると、 言い争いにも近い両親の声が 良く聞こえてくる。 日付も変わろうとしているこの時間に こんなに騒がしいのは この家だけかもしれない。 それでも、その争いの原因をつくった私は 何も言えない。   改めて自分の両の掌を眺め、 動かしてみる。 死んだ私にはいらないものなのに 素直に動く。 その手も血液が巡らなくなったせいで白く 心臓の鼓動も聞こえてこない。 たとえ意識が 此処にあったとしても死体なのだ。 動いている理由は誰にも解らない。    
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!