ホスト+ホスト=仲間

3/19
前へ
/37ページ
次へ
 そんな沈黙を破ったのは、白々し程明るく聞こえるインターホンの音色だった。    滅多に鳴る事のない音に、反射的に身を竦ませる。    開けた扉の向こうにいるのはいつだって借金取り。壊されるのではないかと思う程強く叩かれるドアを見つめて、薄暗い部屋で一人、奴らが過ぎ去っていくのを待っていた少年時代を思い出す。   「……睦月?」    いつまで経ってもドアへ向おうとしない睦月に、悠羽が躊躇いがちに声を掛ける。その声で睦月は過去に浸っていた脳を現実へ引き戻す。    わかっている、奴らではないことぐらい。ただ、体に染み付いた恐怖は消えやしないのだ。    ぎこちない動きで立ち上がり、取り付けられた覗き穴から外に立つ人物を確認する。   「……っ!」    一瞬見えたスーツに息を詰まらせる。  ホストになったから来なくなっていたのにどうして。睦月の体に戦慄が走った。    しかし、その顔が見えた瞬間、詰めていた息をゆるゆると吐き出し、そのまま玄関に座り込みそうになる。      
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

375人が本棚に入れています
本棚に追加