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「――で、俺たちが何でわざわざ休みの日にお前の家に来たかわかるか?」
とりあえず涼の言葉に納得した夏珪は睦月を解放し、当然のように上がり込み、今は小さなテーブルを男三人と少女一人が囲んで座るという非情に狭く鬱陶しい状態にある。
「まあ、一応」
曖昧な返答に、疑わしげな視線が刺さる。
確かにさっきはいきなりすぎで何が何だかわからなかったが、冷静に考えれば夏珪や涼が怒る理由は一つしかない。
「独立、だろ?」
わかってんじゃねぇかと言いたげな瞳が、睦月に先を促す。
「悪かった、言わなくて」
躊躇いも無く、さらりと詫びの言葉が言えた。軽かったからではなく、本当に悪かったと思ったから、心の底から言うことが出来た。
我ながら珍しいことだと思う。
昨日の焚巳にといい悠羽にといい、最近妙に素直というか、誰かに対して事実や本音がさらりと言える自分がいる。
そんな睦月の素直な態度に驚いたのかなんなのか、不思議な沈黙が流れ、
「――チッ」
舌打ちが聞こえた。
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