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「マ……テ……」
「ん?いま何か言ったか?」
帰ろうと足を踏み出した時、ギコがその足を止める。
「私はなにも言ってないよ?」
「俺もだ」
「モナーもモナ」
ギコが空耳とは違う違和感を感じ、今の声に疑問を持つ。
「じゃあ誰が……」
「エ……サ……」
四人全員に、次のそのしわがれたような声は聞こえた。その声が何者のものなのか、それを確かめるために、四人はその方向へ目を向ける。
そして、彼らは後悔した。
「な、なんだ?」
「エ……ザヲ……グレエ~!」
「ひっ!? キャー!?」
しぃが、目を閉じて恐怖のままにギコに抱き付く。
「チィ!? 一体どうしたんだ……ゾヌ!」
四匹の後ろにいたのは、毛の色が黒くなり、牙を剥き、口からはダラダラとよだれを垂らして咆哮していた、ゾヌだった。
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