平凡な世界

27/28
前へ
/187ページ
次へ
「終わったモナ」 「グガ……ガア……」 ゾヌの口から、黒い魂のようなものがフワリと浮かび上がり、消え、ドサリとゾヌはその場に倒れた。 その体の色は、ゆっくり元の茶色い色に戻っていった。 「ゾヌ!」 しぃが慌てて駆け寄り、ゾヌの体をユサユサと揺らした。 「キューン……」 ペロペロと少し弱った様子で、ゾヌはしぃを舐めた。 「良かった……」 舐められたしぃの目からは、ポロポロと涙が流れ出していた。 「うう……感動的に終わったモナ……」 「こ、この程度で泣いてんじゃねえぞ、ゴルァ」 自分の目をゴシゴシと擦って、ギコはモナーにそう言った。 確実に泣いていたのは、秘密だ。 「よし、出口はすぐそこだ。ゾヌには少し頑張ってもらって、ここから出」 その時、一瞬時間が止まった。
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!

285人が本棚に入れています
本棚に追加