森の中で

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ネコが樹々を見上げていると 『きみはだれだい?』 と声が聞こえた ネコは答えた 「ボクに名前はないよ。見てのとおりのネコさ」 そういうと樹々は笑った 『わたしたちにもなまえはないよ。そうだ、きみになまえをつけよう』 樹々の提案にネコは嬉しくなった 「ボクの名前を?本当に?」 ネコの喜びように樹々も嬉しくなって名前を提案した 『きみはきれいなめをもっているね。‘シリウス’なんてどうだい?』 ネコは聞いた 「シリウスってなぁに?」 樹々は答えた 『そらにかがやくほしのなかで、いちばんかがやいているほしさ』ネコはそれを聞いてとても嬉しくなった 「そんなにいい名前をボクにくれるの?とても嬉しいよ!」 ネコは飛び跳ねながら喜んだ そしてふと思った 「なにかお返ししなきゃ!そうだ!みんなにも名前をつけてあげる!」 樹々は言った 『わたしたちになまえはいらないよ』 少し悲しげに聞こえた 「え?どうして?」 樹々はさらに悲しそうに答えた 『わたしたちはもうすぐきられてしまうのさ、ほら、きこえるだろう?』 ネコの耳に人工的なエンジンの音が聞こえた 「みんないなくなっちゃうの?」 ネコが聞くと 『そうさ、だからはやくにげなさい。もう、すぐそこにきている』 樹々の言葉にネコは悲しげに言った 「また、どこかで会えるよね?」 樹々は 『あえるさ、元気でやっていきなさい』 樹々の言葉にネコは泣きながら走った
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