アホ2人

6/8
前へ
/8ページ
次へ
「えっと…高岡さん?大丈夫?」 藤浪が遥を気遣うように声を掛けた。 遥が未だに固まったままだからである。 「あー!藤浪さん!ごめんなさいね、この子は私が連れてくから」 突然、横から声が聞こえた。 「花村さん」 声の主は、花村麻衣子、遥の友人で、同じく此処の会社のOLである。 面倒見が良く、遥の癖を知っていても遥と友達でいる唯一の人間だ。 「遥!なにやってんの!帰るよ!」 まだ固まっていた遥に、麻衣子が叫んだ。 「…え!?麻衣子…?今、いいいい今!ふふふ藤浪さんが!」 「ハイハイ。分かったから。帰るよ」 やっと気が付いた遥を制して、麻衣子は遥を引きずるようにして連れていった。 「お疲れ様でーす…」 もう二人には聞こえないが、遠慮がちに藤浪が言った。 藤浪には、あの二人のやり取りの意味が分かっていない。 つまり鈍感だ。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加