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「えっと…高岡さん?大丈夫?」
藤浪が遥を気遣うように声を掛けた。
遥が未だに固まったままだからである。
「あー!藤浪さん!ごめんなさいね、この子は私が連れてくから」
突然、横から声が聞こえた。
「花村さん」
声の主は、花村麻衣子、遥の友人で、同じく此処の会社のOLである。
面倒見が良く、遥の癖を知っていても遥と友達でいる唯一の人間だ。
「遥!なにやってんの!帰るよ!」
まだ固まっていた遥に、麻衣子が叫んだ。
「…え!?麻衣子…?今、いいいい今!ふふふ藤浪さんが!」
「ハイハイ。分かったから。帰るよ」
やっと気が付いた遥を制して、麻衣子は遥を引きずるようにして連れていった。
「お疲れ様でーす…」
もう二人には聞こえないが、遠慮がちに藤浪が言った。
藤浪には、あの二人のやり取りの意味が分かっていない。
つまり鈍感だ。
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