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第19話*ずっと思ってた
こんなこと言うつもりなんてなかったのに、と後悔するには少し遅すぎて。
「…えっと、じゃあ…」
帰る、と紡ぎ部屋を出る。…今度は引き止められなかった。
□
「どこ行ってたんだ…っ」
自分の部屋に戻ったら、撮影を終えた翔松に抱き締められ、そう呟かれた。
「…ごめん、」
「急に居なくなったから、心配した。…日下部の所へ、戻って行ったのかと思った。」
「え、かけ…」
「もう二度と、帰ってこないのかと思った。だって、お前、日下部が好きなんだろう?」
(なんで知ってるの)
「なんで知ってるのかって?…お前を見てたら直ぐに分かるよ。お前を見ていたから、分かるんだ。
…俺ならお前を悲しませないから。アイツの所なんかに行かないでくれ。俺を選んでくれよ。」
「翔松…っ」
「好きだ、」
よく通るバリトンがあまりにも優しく響く。
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